洞窟写真で綴る地底の旅
玉泉洞のコウモリ
夜、玉泉洞の観光洞エリアを歩いていると、コウモリが音もなく飛びまわる姿が見られます。
小型のコウモリのなかま「オキナワコキクガシラコウモリ」が200頭ほど、この玉泉洞の支洞の奥をねぐらとして利用しています。
オキナワコキクガシラコウモリは、翼を広げると大人の手のひらほどの翼長で、頭と胴まではピンポン玉くらいの大きさ、体重は4グラムほどです。顔には複雑なひだ(鼻葉/びよう)があり、それが菊の花に似ているためキクガシラという名がついています。
エコーロケーション
コウモリは夜行性でエコーロケーション能力を持っています。自分が発する高周波音(超音波)を口や鼻から発し、それが物体にあたってはね返ってくる音(反響音・エコー)を耳でうけとることで自分の位置や周りの様子、餌となる獲物までの距離や大きさなどを確かめることができる、という能力です。小型のコウモリのなかまにはそのような特殊能力が備わっているため、暗い夜空で獲物を捕らえたり、洞窟をねぐらにすることができるようになっています。
役に立つコウモリ
日没の時間になると目を覚ますコウモリたちは、洞窟を出て付近の森で昆虫をたらふく食べます。一晩で自分の体重の半分以上の量を食べるといわれるほどの大食漢です。
ねぐらに戻ったコウモリたちは洞窟で糞をします。この糞は洞窟に暮らす地下性生物たちの貴重な栄養源となり、地下の生態系を維持するために役立ちます。
また、コウモリは田畑の害虫も大量に食べてくれるため、人間にとっても役に立つ生き物といえます。
コウモリの保護
近年、コウモリの狩場となる森林やねぐらとなる洞窟が減少し、その影響でコウモリの数も減っています。コウモリを守るためには森林と洞窟をセットで保全する施策が求められます。とくにコウモリが子育てをする洞窟は数が限られているため、その生息環境を保護することはとても大切です。
コウモリの観察会
おきなわワールドでは、コウモリの保護に関連したイベントとして、夏の数日間、コウモリの研究家をお招きし、玉泉洞においてコウモリ観察会を行っています。コウモリのことを楽しく知っていただくことで、コウモリという身近で見慣れぬ生き物の存在と、コウモリの生息環境の保全について、思いを巡らしていただくきっかけになればと考えています。
観察会ではコウモリの研究家をお招きして、コウモリについて興味深いお話をしていただいています。
玉泉洞の第1支洞奥から洞出口にかけて飛翔していくコウモリたちを観光洞エリアで観察します。バットディテクター(コウモリ探知機)を用いてコウモリの発する声(超音波)を聴くという特別な体験も。暗闇を自由に飛びまわるコウモリのすばらしい能力に驚かされます。
5000万年ほど前に飛ぶ能力とエコーロケーション能力を獲得したといわれているコウモリ。
興味が尽きません。